同族会社に財産を遺贈した場合
2014年11月16日
2014年11月16日
今回は少し複雑なケースを書いてみます。
もし、社長が自分の会社に遺言書で財産を与えるとしていたら、どのような課税が起こるのでしょうか?
①会社の課税
会社は、財産をもらうと、法人税の対象になります。(相続税は関係ありません)
もらった財産の時価が受贈益として法人税がかかってきます。
ただし、その会社が前から赤字で、税務上の繰越欠損金の枠内であれば、法人税はかかってきません。
例えば、受贈益が1000万円で、繰越欠損金が1500万円の場合、
1000(益)<1500(欠損) ∴課税なしになります。
注意したいのは、財産をもらったことによって、会社の株価が上がった場合、遺贈者から
他の株主へ値上がり分の遺贈があったとみなされ、相続税の対象になる点です。
(この場合も欠損会社であれば、株価も0円のままのため、相続税も関係ありません)
②被相続人の課税
財産を渡した被相続人(亡くなった人)は、会社に時価で売却したとして、譲渡所得税の
対象になります。含み益があった土地などを売却した場合は、所得税の心配をしないといけません。
しかし、土地を渡した人は亡くなっていますから、この場合は、相続人が納税義務を承継します。
この場合は、準確定申告といって、亡くなってから4か月以内に確定申告・納付をしないといけません。
ただし、ここで払った所得税は被相続人の債務として、相続税から控除することができます。
このように複雑な課税関係になりますので、もし同族会社に遺贈する予定の場合は、考慮して
実行する必要が出てきます。