遺言書の種類と違い
2014年12月10日
2014年12月10日
まず、”遺言”の読み方ですが、一般に”ゆいごん”と呼ばれていますが、法律上(民法上)では、
”いごん”と呼ばれます。
この遺言の種類ですが、民法で定められた遺言の方式には、大きく分けて”普通方式”と”特別方式”に分ける
ことができます。
このうち特別方式は、臨終間際のときや、日常生活の場所と隔絶している場合の遺言のあり方ですので、
例外的なものになります。
そこで、”普通方式”の遺言書について書いてみたいと思います。
まず、普通方式には、”自筆証書遺言書”、”公正証書遺言書”、”秘密証書遺言書”の3種類があります。
”自筆証書遺言書”は、遺言の内容の全文を自分の手で書き、日付けを入れて、署名し、印を押せば
できあがりです。
他人に書いてもらったり、ワープロで書いたものは無効になってしまいます。
手間とコストがかからず内容も秘密にできますが、偽造・変造・紛失の恐れや発見されても隠されてしまう
可能性、その真偽をめぐって争いが起こることがあります。
”公正証書遺言書”は、2人以上の証人とともに公証人役場に行って、遺言したい内容を公証人に口頭で伝えて、
公証人はそれを法的に間違いのない文書として書き、遺言者と証人に読み聞かせます。
内容に間違いがないことを確認すると、遺言者本人と証人が署名押印します。
公証人が作成するため、法律的な有効性などは心配ありません。
(公証人役場に行かずに、出張もしてくれます)
このように確実性があるのですが、財産額に応じて費用(公証人の手数料)がかかり、
また証人(相続人となるであろう人などは、証人になれません)2名が必要であるため、
その証人に遺言の内容が知られてしまい、秘密の保持ができない可能性はあります。
”秘密証書遺言書”は、先ほどの公正証書遺言だと証人に遺言内容が分かってしまう、という問題点を解決
したいときに有効です。
遺言内容は、自分で書き(ワープロや代筆OK)、公証人にその遺言書が確かに自分で作成したものだと
証明してもらうものです。
遺言書を自分で作って、そこに署名・押印して封筒に入れ、封印します。
それを証人2人と共に公証人役場へ持って行き、自分の遺言であることと自分の住所氏名を言います。
公証人は、遺言書が提出された日付けとそれが本人の遺言書であることを記載して、遺言者と証人とともに
署名・押印して完了です。
このように遺言の内容が他人(証人にも)に漏れることはありませんが、公正証書遺言と同じで、
公証人の手数料や証人が必要になってきます。
また、遺言内容は自分で書くため、内容に法的な不備が生じる可能性があり、その結果、無効となってしまう
ことがあります。
このように、それぞれ、長所短所があります。
おすすめは、確実性がある公正証書遺言です。
この公正証書遺言は、本人と公証人役場でそれぞれ保管することになりますので、
紛失や偽造・変造の恐れもありません。
また、相続が発生し遺言書を発見したときは、すぐにその遺言書を家庭裁判所に持っていって、
裁判所の”検認(遺言書が偽造・変造されないように、記載内容をそのまま保存する手続き)”を
受ける必要があるのですが、 公正証書遺言の場合、その手続きも不要です。
(他の2種類は、検認が必要です!)
どの方式でも、法的な効果は同じなのですが、相続争いになる可能性が高いと思われるときは、
やはり一番確実な公正証書遺言をしていたら安心といえます。