申告期限までに分割協議が調わない場合
2015年11月6日
2015年11月6日
遺言書ですべての財産が、どの人に相続させるかが決められていない場合は、
相続人間で誰がどの財産を取得して、債務を誰が負担するかを決める必要があります。
これを遺産分割協議といいます。
ところで、相続税の申告期限までに、この分割協議が調わない場合は、相続税の申告はどうなるのでしょうか?
この場合は、とりあえず、法定相続分で相続したと仮定して申告・納税をします。
ただし、不利な取り扱いを受けることが出てきます。
例えば、配偶者の税額軽減(法定相続分又は1億6千万円までは、配偶者は無税)規定や、
小規模宅地の評価減(自宅等を相続した場合に宅地部分について80%引きで評価できる)規定や、
農地に対する納税猶予規定などが使えません。
したがって、未分割の場合は、この規定が使えないため、とりあえずは多めの相続税を払うことになってしまいます。
もっとも、申告期限から3年以内であれば、分割が調ったあとで、この規定を使って、
多めに払った相続税を取り戻す手続きがとれます。(ただし、農地の納税猶予はこの手続きはできません)
いったんは多めの相続税の納税資金を用意する必要が出てきますので、
可能な限り申告期限までに分割協議を調えるのが得策であるといえます。